メタバースプロジェクトにおいてAR/VR機能は重要です。ほとんどのプロジェクトがロードマップにおいてAR/VRの導入を解説しています。
多くの場合、技術のイノベーションはミリタリーによって為されます。仮想現実世界を米軍はどのように取り入れているのでしょう?
当記事では、米軍のMRデバイス「IVAS」について解説しています。
IVASとは?
公式サイト | https://www.microsoft.com/ja-jp/hololens https://www.army.mil/ |
トークン/NFT | メタバースはクローズド |
チェーン | ブロックチェーン技術使用は未定 |
運営 | マイクロソフト米陸軍 |
IVAS(Integrated Visual Augmentation System)は複合現実統合視覚増強システムというVRデバイスです。米陸軍がマイクロソフトに依頼して開発を進めている次世代のタクティカル装備となります。
ブロックチェーン技術使用、メタバースの構築は非公開です。特に安全保障分野なので独自のMRバースは公開されることはないでしょう。また、チェーンについてもセキュリティ的にはメリットはあるでしょうが、情報保全的には問題があります。全てのトランザクションが公開されるからです。
MRデバイス
MR(Mixed Reality)は現実世界に仮想現実要素を混ぜた世界です。ARやVRと混合されることもありますが、MRは現実世界に物理的な影響を与えます。AR/VRが現実世界と物理的な影響がないことと比べると大きな違いです。
米軍のイノベーション
世界各国、軍事同盟諸国は人体機能の増強/補強のためのデバイス開発を進めています。パワードスーツや音響サーチシステムなどが代表的な例です。
現場の兵士にとって重要なのはフィールドでのポジショニングとコード&サーチ(索敵)です。旧来は兵士個人の感覚や経験に基づいてバトルフィールドを移動していました。しかし、IVASの登場により、兵士は分隊や中隊、さらには海上や航空戦力との関係性を目の前のレンズにMM(兵棋)として表示させることができます。
リスク
索敵があまりにも合理的に為された場合、それは敵側にとっては最悪の事態となります。結果的に火力による非対称戦ではなく、技術による非対称戦で多くの命が失われるでしょう。
IVASの使い方
IVASはマイクロソフトのHoloLens2が基盤となっています。使い方はHoloLensと変わりませんが、タクティカル装備なので米軍のMIL規格が適応されています。耐久性などで際があります。
また、タクティカル行動を補助するMRですので、工場作業や医療施術をサポートするソフトもインストールされていません。あくまで軍事利用のみです。※TC3は別
索敵
まずは索敵で効果を発揮していくでしょう。サーモグラフィ、赤外線ヴィジョンなどと併用して昼夜、閉所問わず索敵が可能となります。
友軍相撃も激減するでしょう。敵勢力の特徴をマーキングすることによって状況判断能力も圧倒的に向上します。
グランドナビゲーション
山や平原などの生地では自己位置が分からなくなります。さらに、市街地においてはランドマークを失うと東西南北すらロストします。
IVASを用いれば、常に敵の方向を確認できます。ブレイクする場合も分隊ごとではなく、個人ごとにナビゲーションしてくれます。もちろん、3Dマッピング表示も可能です。
超限戦、統合作戦
通常の統合作戦においても分かりやすく目の前の戦場をナビゲーションしてくれます。航空誘導などは情報がリンクしているのでわざわざ座標をFAに送る必要はありません。
さらに、民間の状況と戦場の情報をリンクすることも可能です。超限戦(ハイブリッドウォー)では特に有効でしょう。民間情報をリアルタイムで分析してObjへ反映させます。
IVASと市販品の比較
プロダクト名 | 開発 | 値段 |
---|---|---|
IVAS | 米陸軍 | 約3兆円/12万台 |
HoloLens2 | マイクロソフト | 40万円~ |
Magic Leap | Magic Leap | 45万円~ |
IVASはマイクロソフトのHoloLens2を基盤として開発されています。また、MRデバイスは他にもあります。
HoloLens2
マイクロソフトが開発するMRデバイスです。MRを前面に出したプロダクトは多くありません。現実世界をリアルタイムにスキャンしていく必要があるので、大きな開発リソースが必要となります。
既に工場や医療現場でのサポートに使用されています。日本でもトヨタなどが導入しています。
Magic Leap
Magic Leapは米国のMRデバイスメーカーのプロダクトです。HoloLens2と同じような用途で使用されます。2023年1月時点で唯一のHoloLens2競合プロダクトといえます。
レンズ以外にも装着セットがあり、少し煩雑ではあります。
IVASとの比較
米軍独自機能 | 概要 |
---|---|
アイトラッキング | 視線の先を自動評価(判別) |
ナイト視野広角 | 視界70度※通常のNVは40度程度 |
顔認識※実装予定 | 誤射防止、サーチ |
翻訳機能※実装予定 | リアルタイム翻訳、表示 |
生体トラッキング※実装予定 | 健康状態掌握 |
通常のMRデバイスはかなり静的なトラッキングが行われますが、戦場ではそうはいきません。ダイナミックなトラッキングが必要となり、即時的な表示が重要です。
米陸軍が主に開発を進めていますが、テストは海、空、海兵隊で行われています。
まとめ
2023年、SNSの発展によって玄人の識能が公開され続けています。しかし、実際に技術を使用するとなると手取り足取りの指導が重要になってきます。MR技術は、その手取り足取りでの指導フェーズを世界的に公開することになるでしょう。
IVASは軍事デバイスなのでスキルは全てクローズドになります。しかし、インターネットのようにいつかは開放される領域であることは間違いありません。そうなった場合、社会に良い影響もあるでしょうが、負の側面を与えることになるかもしれません。
以上、米軍MRデバイス「IVAS」について解説させて頂きました。MRについてお調べ中の方々にとって有益な情報となれば幸いです。
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