「故人と会話をしたい」というニーズは誰しもが持っています。大切なご家族や友人、恩師に聞いてみたかったこともいっぱいあるでしょう。
当記事では、故人と会話ができる可能性を解説しています。それはAIとブロックチェーン技術によって実現するかもしれないサービスです。
当記事が、AIとブロックチェーン技術への理解に少しでも与すれば幸いです。
故人と会話できるサービス
AIとブロックチェーン技術によってメタバース上で故人に会って話せるサービスについて解説していきます。
故人の声やイントネーション、考え方など全てデータを蓄積していき人格をAIによって再現します。
会う場所はメタバースとなります。なぜか?
これからVR/XRデバイスが進化していきます。それらは現実世界の五感の再現性を高める装置です。つまり、究極的にいえば現実世界で故人と会っているような状態が作り出せるようになります。
カギとなる技術
AI、特に自然に会話のやり取りができる人工知能プログラムが必要です。既にLMMはスマートデバイスなどで多く使用されているプログラムです。ビッグデータの蓄積で、最近では非常に流暢な応答がスマートデバイスから返ってくるはずです。
そして、ブロックチェーン技術も大切です。メタバースを担保する技術です。ブロックチェーンがなくてもメタバース構築はできますが、デジタルデータが無断で複製/使用されていく危険性があります。
最後にVR/XRなどの五感再現技術です。ARやMRも並行して発展していくでしょう。現実世界で誰もが知っている偉大なスポーツ選手とデートすることもできるようになるかも知れません。
ニーズ
故人に話しかける場合、通常は一方的です。どれだけ熱心に話しかけても、頼んでも、答えは返ってきません。
もし、答えが返ってきたらどうでしょう?何も、大切な人との会話を想定したものだけではありません。
メタバース内でソリューションサービスとして展開するのであれば、歴史的な大家とも会話ができるということです。未来では、子供たちが歴史上の人物から直接授業を受ける時代が来るのでしょうか?
再現性への疑問
生前の会話、感情、思想、嗜好、しぐさに至るまで全てデータが蓄積されていれば再現性は高まるでしょう。
しかし、通常は誰もがデータ蓄積のために何かしているわけではありません。そうなると、生前の限られた動画や写真、音声データなどから故人を再現することになります。
あまり大きな期待を持ってサービスを試すと、ショックを受けることもあるかも知れません。
生起する問題
「大切な家族や友人、恩師などともう一度話したい」
そんな純粋なニーズは何が問題なのでしょう?
哲学的な問題でしょうか?法律的な問題でしょうか?
倫理的リスク
米国のニュースサイトは日米の1,000人に対して故人アバターに関する質問/調査を行いました。
回答者の2/3は故人アバターの使用、もしくは開発に否定的でした。
故人アバターサービスはニーズはあるかもしれませんが、社会で受け入れられるかは分かりません。
道徳的リスク
個人においても道徳リスクが生じるでしょう。親しい人の復活(メタバース上だとしても)は、背徳感を抱くかもしれません。
結局、AIが再現した人格となります。AIによって人格もカスタマイズされるかも知れません。その際、アバターとなった個人の尊厳はどうなるでしょう。
法的リスク
ここは未知数です。個人情報をどう扱うのかも議論となるでしょう。
故人と会話できるサービスを提供する企業
死後の世界をテーマにマーケティングを行っている企業は少ないです。自身のアバターをAIによって自立させるイノベーションを図っている企業は多いです。
いずれにしても、自分がいなくなってからもメタバースで自分のアバターが生きるのであれば、死後の世界をテーマにしていると言えます。
ソウニウムスペース
メタバースサービスを提供する米国のソムニウムスペースはLive Forever という機能を実装予定です。
自身の分身であるアバターをメタバース上で永遠に生きさせるという計画です。実質、故人との会話ができるようになります。
生前の会話データやジェスチャーなどをサンプリングすることで、本人そっくりのアバターとなります。
Whatever
Whateverは日本の未来技術アートメーカーです。進化し続けるAIと自然会話プログラム、モーショントラッキング技術を用いて故人をVRで蘇らせます。
有名なコメディアンである出川哲郎氏はNFTの番組で数年前に亡くなったお母さんと会話をしています。
この企画には最新テクノロジーだけでなく、日本の文楽で使用される芸能技術もコアな部分で使われました。NFTアーカイブで視聴することができます。
YOV(You Only Virtual)
YOVのCEOの個人的アプローチからプロジェクトはスタートします。
故人アバターを制作するプロセスは非常にプライベートなものです。制作されたアバターは制作依頼者以外からのアプローチはできません。
制作過程には個人同士の会話データの蓄積が必要になります。そのデータをAIが分析して会話している人たちのアバターを作成していきます。
YOVでは作成されたアバターを特にヴェルソナ(VRとペルソナの造語)と呼びます。
個人の思いにフォーカスした会話サービスとなります。
Here After AI
こちらはチャットメインのサービスです。データ蓄積にかかる労力はそれほどではありません。しかし、AIが的確に人格や感情、文脈を掌握して、ユーザーをアバターとして再現します。
株式会社オルツ/ 株式会社メタリアル
株式会社オルツ/ 株式会社メタリアルが主導して進める故人アバタープロジェクトです。当初は故人の再現ということではなく、自分の分身AIの製造というのが目標でした。
しかし、派生して「個人のAIであるなら、個人がいなくなっても生き続ける」というコンセプトに到達します。
デジタルクローンP.A.Iは株式会社オルツが提唱する個人AIです。
まとめ
死後、メタバースでアバターとして生き続ける…アバターとなる当人の許可があれば良いのかも知れません。どう思いますか?
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